日本初、聴覚に障がいのある方が養成課程を経て二陸特を取得
当センターの設立趣旨の一つである「障がいのある方の無線資格取得支援」に関して、令和7年4月、聴覚に障がいのある方が第二級陸上特殊無線技士(以下、二陸特)の資格を取得されました。
この取り組みにご理解とご協力を賜りました関東総合通信局および総務省本省の皆さまに、心より感謝申し上げます。
【経緯】
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昨年夏、聴覚に障がいのある方が二陸特の養成課程を受講する可能性について関東総合通信局へ相談したところ、一定の条件のもとで実施が認められました。具体的には、音声文字変換ソフトや筆談用の電子機器などを整備し、情報保障の体制を整えました。
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実際の受講は、令和6年12月28日・29日に実施された養成課程で行われ、当該の方が受講・修了し、見事合格されました。
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その後、関東総合通信局によるヒアリングや診断書・聴力検査結果の提出などを経て、令和7年4月に二陸特の免許が発行されました。
今回のように、聴覚に障がいのある方が二陸特の資格を取得されたのは、制度上初めての事例となり、免許証発給手続きに一定の時間を要しましたが、関東総合通信局からは「今後は手続きの迅速化が期待できる」とのお話もいただいております。
また当センターからは、二陸特および一陸特の資格は主に無線設備の技術操作に関するものであり、通信操作そのものは誰でも行えることから、多くの場面で聴覚に障がいのある方の活躍が可能である点を踏まえ、今後は診断書や聴力検査結果の提出を不要とする制度の見直しをご提案させていただきました。
今回の資格取得は、多様な方々が技術分野で活躍できる社会の実現に向けた大きな一歩であり、私たちにとっても大変意義深い成果です。
今後も当センターは、障がいのある方々が無線分野で力を発揮できるよう、環境整備と支援に努めてまいります。引き続き、皆さまの温かいご理解とご協力をお願い申し上げます。
(一社)無線従事者養成センター 代表理事 中村治幸